6月3日から1週間、中国を視察してまいりましたので、ご報告いたします。

 
 
 

■ 中国事情
 
 
 
【北京・上海・大連】

成田から上海の浦東空港に到着。入国手続きのエリアに2,000人ほどの外国人が入国審査待ちのために溢れかえっており、到着から荷物の受け取りまで約1時間も要しました。いつもながら、日本人の多さに驚きを感じましたが、今年4月の反日デモの影響はもう感じることはありませんでした。4月中旬から5月中旬まで、日本式のレストラン、飲食店などは、かなり暇な状態となり、閉店になるケースもあったようです。特に4月中旬からは、現地駐在員の方々、またその家族にとっては、外出制限などもあり、厳しい状況であったと聞いております。5月3日、北京においてもデモはなかったので、落ち着きを見せているようでした。
 
 

   
  【人材の確保】
   
各大学の卒業生も6月には、正式に卒業ということになりますが、就職率が年々、悪くなってきています。"企業サイドの需要"と"就職希望の学生"とのバランスが崩れてきているのが原因のひとつです。各大学では、「就職できない学生を対象に職業訓練」を行なう支援を実施しています。大学の構内に専門学校的な学校があるというのも中国ならではという感がします。
 
そこで問題になっているのは、「人材定着」の難しさです。優秀な人材ほど会社への定着率が低く、製品開発のノウハウ、教育を地道に行なっても、退職後、同じビルの違う階の別会社に、即日勤務しているというありさまです。
 
そこで、賃金面で優遇処置を施し、定着率をアップさせようという極めて単純な方法で対処しているのが現状です。しかし、沿岸部の上海、大連、北京などの主要経済都市と、いわゆる内陸都市との賃金格差は、年々ひらくばかりです。
 
弊社におきましても約4年の歳月で学んだ「中国マネージメント」の難しさは、文化・考え方の違いに起因していますが、解決方法を未だ模索している状況です。
 

 
【エレクトロニクス関連】

@ プリント基板製造工場のライン増築を行なうメーカが増加。
A プリント基板・実装工場の移転先として、昆明・南京が増加。
B 電子部品の製造メーカが増加しているが、日系企業の認定がなかなか困難。
C 各企業は、データ流出の問題で、セキュリティ面での強化が急務。
 

 
■ 賃金格差の矛盾
 
現在、中国では、「賃金格差」の問題が社会現象になってきており、下記にその例をあげてみます(1元は、13円として)。

レストラン店員 (沿岸都市部)
(内陸部)
1,000元〜1,500元
5,00元〜700元
工場労働者(女性)
800元〜1,200元
400元〜600元
ソフトエンジニア(経験 5年)
5,000元
2,500元

このように、職種は別としても、都市部と内陸部では、やはり2〜3倍くらいの違いがあります。当然のことながら物価も違いがあり、タクシーの初乗りも都市部は、10元スタートですが、内陸部は、6〜8元スタートです。しかし、もっとも驚くべくことは、お金と物の価値の相違にあります。上海〜大連までの飛行機片道運賃ですが、800元〜1,000元ほどです(羽田〜福岡というイメージです)。1ヶ月分の給料で、上記チケットが買えないということです。いずれは、為替変動制になると思われますが、このような歪みをどう解消していくのかが、今後の大きな課題だと思います。
 

 
■ 中国 雑ネタの紹介
 
中国は、未だに「一人っ子」政策となっていることは、みんさんもご存知だと思います。しかし、「双子」が生まれた場合は、当然のことながら政策違反にはなりません。ある中国人から聞いた話しですが、有名大学の修士課程を卒業した男女(夫婦)に限り、「一人っ子」政策の対象外という例外もあるそうです。
 
話を「双子」に戻しますが、生まれてきた双子が、男の子と女の子だった場合、中国のある地方では、成人するまで同じ家で生活をしない風習があるそうです。成人といっても30歳までということですから、ほとんど家族としての生活ができないということかもしれません。日本では聞かない話だと思います。
 
奥深い中国の歴史、慣習を感じるとともに、これからの日中関係がもっとスムーズに、シームレスな関係が築けたらと思う今日この頃です。


2005年6月17日掲載