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PART17 「猫騒動で五体不満足に(その一)」 | ||
著者 小山清春
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我が家にロシアンという名の飼い猫がいる。アメリカンショートヘアという |
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その間、女房は我が家の猫を 部屋に閉じ込め、ドアを閉めた。 これは正解であった。 俺も奴の激烈な攻撃に一瞬手 を離した。鼻黒の奴は階段を 転がるように一階へ逃げた。 あとで探索してみると、奴の侵 入した一階の網戸の隙間から屋 外へ、ゆうゆうと逃げ延びてい った模様である。 この間の大格闘は、30秒間 くらいではなかったかと思うが、 一瞬のような気もする。 |
我が家の猫のロッツは、部屋に閉じ込められながらも、盛んに「グアーグア |
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傷跡を冷やしながら朝を待って、休日診療所へかかった。丁度、担当が皮膚 |
医療は、患者と医者側の信頼関係である から、患者として安心感が診療を大きく左 右する。 まず傷の手当てに当たってくれた看護婦 さんは吉嶋さんといって、丸ぽちゃの美人 である。ますます傷ははやく治るような気 がしてきた。しかし内心ではなるべく長く 通院できるように、ゆっくり治ってくれな いかなぁ、とわがままな感情になったのは、 本当である。他にも吉井田さん、住吉さん と三人の看護体制であり、連携がいいよう だ。 しかし白衣の天使ではない。ユニホーム はうす水色だもの、青衣の天使というので はないか。ラベンダー色だったらラベンダ ーの天使。黒色だったら黒衣の天使か、こ れは函館のトラピスチヌ修道院の修道女の イメージになる。それじゃピンクのユニホ ームの場合、桃色の天使ということになる なぁ。これはいい。どちらかというと私は こちらの方が好きだね。しかも毎日つぎつ ぎと日替わりでユニホームの色が変われば、 虹色の天使となり夢いっぱい。 |
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しかもナイチンゲールの精神が、ここの三人の看護婦さんの血にみなぎってい るね。ナイチンゲールさんはイギリスの看護婦さんで、クリミア戦争に際し、多 くの看護婦を率いて傷病兵の看護にあたり、クリミアの天使と呼ばれた。どんな 女性だったのだろうか。一度写真ででもお会いしてみたい。色白丸ぽちゃか、オ ードリー・ヘップバーンかエリザベス・テーラーのような感じだろうか。それと もマリリン・モンローかな。でもみんな大好きな女優さんだね。 1853年トルコ内の聖地エルサレムの管理権をめぐって、ロシア・トルコが 開戦。翌年、トルコに荷担したイギリス・フランス・サルディニアが出兵。やが てパリで講和条約が締結。戦後ロシアでは大革命への道をたどってゆくことにな る。このように歴史のある精神がクリミアの天使なんだねぇ。 本当にここの医院さんには、美人の天使がいっぱいだね。 いよいよ初診対面に先生が登場。 「どうしました?」 なかなか優しそうでいい先生だ。いろいろと傷のことについて説明してくれる。 ファーストインスピレーションは、いい先生である。ほっと安心する。でも困っ た。これならば明日にでも完治しそうだ。早く治ってしまえば、せっかく出会っ た三人のナイチンゲール精神。虹色天使との関係はどうなんだ。私は人懐っこい 方でいつでも一期一会を大事にしたいと思っているのだが。 二日目にほぼ平熱まで下がり、医療的には見事に的中。精神的には職場へ出た ことで熱が下がったのでは、と勝手に思っている。 指先から4.5センチぐらいを除き、両手が包帯でぐるぐる巻きになっている が、かろうじて箸を持って大好きな手打ちソバは食える。ボールペンやパソコン も打てるからまずまずだ。ところが体のどの部分であっても、どんな小さな傷で あっても実に具合が悪いものだ。まさしく、五体不満足・・・! |
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次回につづく・・・
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『著書「お色気ちょっぴり 肩のこらない話」から』 |