松下電工株式会社
電材分社様
津部品綜合部
電子デバイス製造部
電子デバイス製造課
製造技術グループ
パターン設計担当
河端 英樹様

はじめに・・・・・・
お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。
アルターシステム梶@松 永

文中敬称略


Q 本日はお忙しい中ありがとうございます。
   それでは早速ですが、津工場の電子デバイス製造部の業務内容をお聞きかせください。
 津工場は5事業部と私共が属している津部品綜合部があります。その各事業部に、電子デバイス製造部は、
  プリント板に電子部品を自動実装したものを供給しています。津工場発信基地のような感じの製造部署です。
  また、電子デバイス製造部全体には、電子製造課、製造技術グループ、製造管理グループ、品質管理グループがあります。


Q 電子デバイスさんとしては、先ほどの自動実装というのがメインだと思いますが、河端さんのグループとしては
  どういったお仕事をされているのですか?
A 私は現在電子デバイス製造部の製造技術グループに属していまして、業務内容としましては新規設備の導入や
  新しい商品、技術に関して現場が上手く回るための方法を考えたり、新規の工程開発などを行っています。
  また、検査治具の制作、外観検査機等の導入も製造技術グループの仕事です。


Q 今、実装のラインとしてはどの程度あるのですか?
A  そうですね、チップの実装ラインはリフローとフローも込みで6ライン。アキシャルとラジアルの1ラインずつの計8ラインです。
   規模的にはそれほど大きくはないのですが、多品種生産という形で、現場は、かなり苦労しています。


Q よく、多品種になると段取り換えなどの問題、時間のロスなどが発生すると思われますが、改善策の方は
  どうなさっているのですか?
A はい、社内では電子化が遅れていた時期がありまして、電子部品の在庫が上手く管理されていないところがあったの
  ですけれども、5年程前から段取りをするためのパソコンを使った仕組みを開発しまして、共通部材などを上手く他の
  ラインに乗せ換えることで段取りの効率化がはかれていると思います。そのシステムの開発は製造技術グループが
  主になり推進しました。より実装現場が使い易いのを目標・開発しましたので、開発の工数はかなりかかりましたが、
  今までと違いとても作業しやすいということで製造現場に好評はいただいてます。具体的な時間は、過去切り替えを
  する時間が1品番30分かかっていた商品が1品番15分に削減されてます。


Q 3〜4年前からですか、河端さんのところで、製造部としてプリント板のデザイン設計などを始められるきっかけは、
  どのような背景があったのでしょうか?
A 各事業部の商品設計者がプリント板の設計を各設計のメーカーさんに依頼されて、プリント板ができてきますが、
  電子デバイス製造部で実装するという段階で初めて基板、図面が配布されます。実際そのプリント板で試作を行うと、
  ハンダのブリッジや部品の位置の問題で自動実装ができないなど、不良が多発いたします。その不良が試作の段階で
  改善できるものは、まだいいのですができないものが放置されたままになり、量産段階で苦労するという事がありました。
  また、依頼した設計メーカーが違うと同じ不良が複数回発生するなどの問題も発生しておりました。


Q それがきっかけで製造ノウハウを上手く設計に盛り込むということですか。
A そのとうりです。設計者が電子デバイス製造部へ研修に来て、実装ノウハウを習得した後、パターン設計をやるというのは
  時間もかかりますし、人材の面でも難しいので、現場のメンバーでパターン設計からやってみようということになりました。
  そうゆう背景からスタートしております。


Q 現在お仕事の受注元というのは、設計の場合は先ほど出てきた部署になると思うのですが、
  特に回路図CADはどういったものをお使いなのですか?

A CADはですね、富士通さんのμCADAMなど、ネットで出力できないタイプがほとんどでして、そこはこちらからネット出力できる
  CADへの変更を提案させていただいています。このままでは情報の共有化というのができないということで徐々にではありますが
  変わってきてはいます。今年の2月ですが、図研さんの回路図CADの仕組み導入し、そこから電子デバイス製造部として
  データをもらうという流れを作ってきています。



Q 現在、河端さんが設計される時は、どのような機種をお使いなのですか?
A 今は、I-CADを使っています。各事業部にもI-CADが入っています。またCR5000も導入してあります。


Q I-CADで回路を書くということはないのですか?

A 各事業部に関しては、ほとんどないですね。書かれていない要因は色々あると思うのですが、ライブラリの整理が
  面倒なのが原因なのでしょう。



Q 最初の立ち上げは大変だったと思うのですが、現在の課題は何でしょうか?
A データの流れを1本化したいですね。設計からデータがきてプリント板の設計をしてデータがそのまま実装機へ流れ、
  そのデータで配置図なども作成できて、検査治具も上手く造れるという流れを作りたいと思っています。
  それが今後課題だと思います。


Q プリント基板の設計は、かなり納期的にも厳しいですよね?

A かなり無理してやっているところはあります。しかし、逆に言えば、実装のことを知ってパターン設計をしているということは、
  普通ではできないことだと思うのです。その利点がとてもあります。パターン設計の勉強はできると思うのですが、
  実装の勉強は、実際に現場にいなければ無理ですからね。



Q なかなか、セットメーカさんで、製造担当が設計を行うというのは珍しいと思うのですが。私たちも電気部品の製作も
  行っているのですが、製造技術やノウハウがあってランド、マスク、レジストなどが決まってくると思うのですが、
  そういう意味では設計も同じ流れですので理想の形かと思います。

A やはり、どこの企業でも製造現場と開発部隊が離れがちになると思うのです。離れている事により不良などがなくならない
  ことに繋がると思うのです。そこの中間的なものを私どもで上手く果たせたらいいと思います。また、当社には5設1体という
  言葉がありまして商品の機能設計、商品の生産設計、工法の設計、設備・金型の設計、販売の設計この5つの設計が
  1体になってこそ良い商品が生み出せるという考えで、この思想を忠実に守っている部署の一つだと思います。



Q 期末が12月ごろになると思うのですが、今後の予定、改善などはどうですか?

A そうですね、今後の課題と良く似ていますが各事業部に回路図からネットデータを抽出できるCADを、上手く活用していく
  道を作っていきたいと思っています。今は、データ活用ができていない為に、図面を設計メーカー・プリント板屋さんに渡して
  再度回路図を作成している状況ですからね。もう少しデータを活用していく道を作って皆が無駄な作業が無くなる様に
  考えています。ただし私個人では、なかなか進みませんし事業部が沢山有る為、色々な意見がでてきてまとまりませんが。



Q 質問を変えさせていただきますが、松下さんはグループとして電器産業さん、通信工業さんがあると思うのですが、
  当然作られている製品が違うと思います。製品のコード体系の統一やグローバルコードなどの流れで、電器産業さんが
  かなり活発に部品の統一をやられていますが電工さんとしてはどういった形を考えているのですか?

A 電工としても当然着手しております。NAIS−ISを中心として部品の統一化を進めています。
  今は工場単位で部品コードをバラバラに設定しているのですけれども、そこら辺を一本化していこうということです。
  実際には去年の末ぐらいからスタートしていまして、すでに導入されています。



Q 私、以前お伺いしたのですが、パソコンやOA機器と違って通年にわたって新製品をある時期で出していると思うのですが、
  電工さんの場合はどちらかといいますと年間を通して一番忙しい時期というのはいつ頃なのでしょうか?

A そうですね。様々な商品があるのでこれといった時期は断定できませんが、通常は、春と秋に2回ほど新商品の発売時期が
  ありまして、その新商品の載っているものに関しては、発売にむけて生産しなければならないので年に2回忙しい時期があります。
  春の発売の新商品に関しては、生産現場は、2月から3月頃、パターン設計業務は、12月から1月が忙しく、また、
  秋の新商品は、生産現場は9月、10月パターン設計業務は、7月、8月頃が忙しいです。


  
Q 最後になりますが今回、設計から事業部と連携を取りながら、回路図からスムーズに仕事を流していくということが、
  最大のテーマだと思います。今後EMCのような解析系のニーズも出てくると思いますが、今後はどのように考えられていますか?

A 確かに前々から解析のツールを、持ってほしいという要望はあるのですが、しかし、年に何度も解析の依頼は実際にはありません。
  電子デバイス製造部として、そのツールを持つということは困難だと思います。やはり、ツールは値段的にも高価ですし、
  導入したとしても利益には繋がりにくい部分もあります。その時々に応じて解析をかけてもらえる会社を探す、というスタンスに
  なると思います。


Q お忙しい中、インタビューさせていただきありがとうございました。今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。