インタビュー実施日 2003年5月30日

本日はよろしくお願いいたします。
早速ですが、御社の事業内容からお話をお願いいたします。

 

まずは、現在、4つの事業からなっていまして、
「SSP(セーフティセキュリティプロテクション(防災など)事業)」「サーマル事業」
「メディカル事業」、そして「PWBA事業(システム事業と改称する予定)」という形になっております。

SSP事業 について少々ご説明しますと、会社創業時(1961年)に、米国にありますフェンオール社の
熱感知器、煙感知器の技術導入をするという形で生産を開始し、現在は熱感知器、煙感知器を
始めとしまして、受信システムなどを開発しております。
SSP事業は、「検知・消火・監視・爆発抑制」に重点を置いて商品開発・エンジニアリングを行なっており、
初期検知と消火システムなどの安全をコンセプトとした特徴あるシステムを開発し、各種機器とシステムの
開発から工事設計、工事、保守まで一貫したサービスを提供させていただいております。

Sネットという受信機システム、つまり、感知器に内蔵したマイコン、および受信機に搭載したパソコンによる
自動火災報知システムは業界初のものです。あとは、煙を小さなレベルで検知する商品もございます。
コスモという商品は、ごくわずかな煙を検知する煙感知器(煙センサー)を組み込んで"装置の中の異常"
も初期段階で検知するというものです。

それから、サーマル事業 につきまして説明します。これは温度測定と温度制御技術をベースとした、
さまざまな温度調節器を開発・製造しております。この温度制御技術を利用して、温度制御が必要な
マーケットに商品・サービスを提供させていただいております。近年、高精度な対応が求められます
半導体製造装置や液晶製造装置に使う応用商品の開発・製造も行っております。

次にメディカル事業 というものがあり、大手の医療機器メーカー様との協業によって、人工腎臓透析
装置を設計・製造しております。

そして、PWBA事業(以下、システム事業 とします)は、大手複写機メーカー様を中心に国内セット
メーカ様に対する基板組立品の製造を行なっております。私自身ですが、今年から、メディカル事業と
システム事業の任についております。




それぞれの事業内容のお話しをしていただきました。
ところで、社歴と社員数についてお聞かせください。

 

設立は1961年、今年度で43年めになります。社員数は207名です。




営業活動も幅広く展開されていると思いますが、どうでしょうか?

営業拠点は全国主要都市に7拠点、4つの事業の製造工場(長野工場)もあります。
技術開発拠点は八王子(2拠点)と長野に合計3拠点あります。アプリケーションソフトの開発部隊が
サテライトオフィスということで、八王子駅近傍にあります。八王子事業所(技術開発センタ)には
システム・メカ・エレキなどの技術開発者が50名、長野工場には、各事業の製造技術・生産技術
部隊とシステム事業部門の技術開発を担当するシステム技術部があります。システム技術部は、
商品開発メンバーと技術開発メンバーが10名ほどいます。海老名サテライトにつきましては、営業と
技術がミックスした形で、主要客先様への営業窓口を今年度新たに開設し、設計・試作から量産
品まで、いろいろな受注を直接いただいております。



システム事業部門(PWBA部門)のお話をお聞かせください。

 

アウトラインではありますが、システム事業に関係しまして、お客様の商品仕様と設計仕様に基づき
まして、具体的な部品レイアウト検討、部品削減検討、回路設計、基板分割、基板設計仕様、
アートワーク設計、生産設計、実装ですね、それから当然、試作および評価、量産試作から量産
までという体制を整えております。

現在、レベルアップを進めている部分も多々ありますが、開発時間短縮やコストダウン・製品性能
改善をご希望されるお客様にお応えできるよう、基本性能の確認はもとより、EMI/EMS評価を
回路/PWB設計段階でシミュレーションを行なうことにより、その実現を図っています。

また、基板アッセンブリにつきましても単に製造するだけでは、お仕事はいただけませんから、いかに
品質保証するか、テスティングについても、受注の切り口になるように検査を考慮した回路設計、
アートワーク設計対応をしております。

そして重要なことになりますが、お客様のニーズは多岐に渡りますから、検査費用を出来るだけ
かけずに品質保証を確かなものにしていくかということがありますね。
ですから、基板各々の特徴・機能に応じた最適なテスターの開発も行なっております。




システム事業の、御社の主要お取引企業様を教えていただけますか?

 

主な取引先としましては、大手の複写機メーカー様、大手の医療機器メーカー様です。




4事業部のそれぞれの「分野」と「技術」に関しまして、どのような協業体制をとっていらっしゃいますか?

 

これまで4つの事業部門は、ややもすると各々の独立したマーケット、得意先で活動したきらいが
あり、お互いの強みを利用するような活動が、なかなか出来なかった面があると思われます。

昨年から、全社の4つの事業を戦略的に見直そうということになり、中期戦略計画「C2004」
策定のためのタスクチームを昨年度結成し基本構想を作りました。システム事業においては、
営業部長の和田・技術部長の久保寺をはじめ、各協力メンバーを入れて、いろいろな現状分析
を行い、その中から、他の事業の分野についても幅広いサービスをしようということになりました。
たとえば、従来の医療機器メンバーだけで対応が難しい場合は、システム事業のメンバーも協力
するなど、事業の見直しをしております。
このことで、大きな成功も得られました。昨年の夏あたりから、策定した戦略に基づき事業責任者
制度を導入した特化した体制を整えております。

システム事業においては、とくに会社全体がキャッチフレーズにしております"コア技術(熱の
コントロール)"を利用した「熱制御技術・放熱技術」を新たに加え、「ノイズ対応技術」
「基板設計技術」「実装技術」「検査技術」を技術戦略の柱にしております。
マーケット&商品の要求レベルの高度化に対しても、さらに強化していきたいと考えております。

それから、ノイズの関係でもビジネスマーケットを広げたいという気持ちでいます。我々は、目の前の
お客様と直面してお仕事をさせていただきますが、実際は、そのお客様の向こうに、「本当のお客様」
がいるわけです。そこを重要視していかなくてはならないわけですね。エンドユーザー様が、どういう
商品を要求しているかということを頭の中に置きながら、最適なシステム開発と製造をと考えております。

とくに医療機器関係では、従来の透析装置のシステムがどういうものであるのか、どのように使われて
いるのか・・・ということが問われてきますからね。たとえば、以前は、病院では静電気で画面がチラツク
などという現象もある場合がありまして、その現象そのものは、透析機能に影響は無いのですが患者
さんによっては不快に感じる方もいたと思います。今ではかなり改善されました・・・。エンドユーザー様が
実際にどのような環境でどのように人工透析装置を使われていて、且つどのような事に困っているかを
知らずに、いきなり基板設計に入ってはいけないということです。それで、今回の新製品開発に当たっ
ては、設計までの前段階に十分に事前情報を評価・分析しました。これに1ヵ月半ほどかけましたが、
その後は、とっても早い期間で仕事が進みましたね。これは、私自身が一番勉強をさせてもらったと、
あとから実感しました。

システム全体を配慮した基板設計技術、高密度化、高速化対応、シミュレーションをしながら、
さらに重要な原価低減も考えていきたいと思っております。当然、部品実装については専門ですから
環境問題をクリアした鉛フリーなどにも対応する実装技術をと考えています。

さまざまな検査技術についても、費用を意識して、また、高度の品質を確立するという内容で、
これらのことを常に意識して対応するということです。




御社が最も重要視していらっしゃるのは、どの部分でしょうか?

 

とくに差別化したい特徴として、試作品の製作後、「ノイズを測定して対策を考える」という仕事の
進め方から、部品レイアウトや基板分割、回路設計、アートワーク設計段階での伝送線路シミュ
レーション・ノイズ評価まで一連の業務を全て社内で行うことにより、商品開発期間の短縮と品質の
向上を実現したいと考えております。なかなか難しいことだと思いますが、基板単体の評価から、
システム評価への重要性を認識していますのでチャレンジしていきたいと思っています。
また、試作品の評価結果を商品設計に的確に、迅速にフィードバックするサービスを特徴として
いきたいと思っています。




システム事業部門の営業拠点と製造体制についてはいかがですか?

 

営業拠点としましては八王子を本拠地としております。主要メーカー様に対しましては、きめ細かい
迅速なサービスを行うために、客先様の近傍にサテライトオフィスを開設しております。
長野県安曇野の長野工場では新規商品に対する商品開発部門、新技術開発のための技術開発
部門と試作から量産までの製造部門があります。製造部門内にも生産管理・資材調達・製造技術・
品質管理などの各機能があります。




システム事業の技術開発拠点と体制についてはどうでしょうか?

 

システム事業の技術部門について基本的な考え方は、八王子にある技術部門と協業しながら
進めています。先ほどお話ししました、商品開発部門と技術開発部門で構成しており、現在
10名の体制で行なっております。ここのトップにはノイズ対応技術で著名な久保寺 忠を迎え、
専門技術者集団で固めています。

大学、企業様とも企業交流を広げており、技術サポートや講演活動も行なっています。
また、営業部隊とシステム技術部隊で合宿を何回も繰り返し、「上期の反省」や「下期の展望」、
「今後のビジネス展開」などを考え、更なる飛躍をと考えております。




それでは、御社の技術関連の設備につきまして教えてください。

 

技術部をサポートしている設備につきましては
「回路設計のorCAD」
「A/W設計のpowerPCB」
「伝送線路設計のHyper Lynx」
「シミュレーションによる電源電圧分布の解析のためのデミタスNX」
などがあります。

拠点の追加ということで、梓川村というところの花見工場に簡易電波暗室を設置して、EMI/
EMS(イミュニティ対応)対応技術を追求していこうと考えており、長野工場駐在のシステム
技術部隊のメンバーも花見工場へ移動する予定です。




では、今後強化したい事業展開につきまして、どのような計画をお持ちでしょうか?

 

弊社が掲げているコア技術「熱のコントロール技術」を応用するニーズがあるマーケットでのビジネスや
技術開発、それから高密度化、高速回路設計などの展開も考えております。

また、従来、実装を中心とするPWBA事業で培ってきたノウハウ、製造メーカーである内部の問題
課題を解決してきたという力、苦労した部分を整理して、将来、システムソリューションに拡大、
発展させていきたいと思っております。

CPUなどの周辺が高速に動くようになりますと、「発熱」という問題が出てきますね。
実際にあらゆる製品でその状況をどうするかを苦労していると思うんですよね。熱のシミュレーション・
熱のコントロール・熱の測定技術を核に持っている部分を使って、回路や機構面にフィールドバック
していくということも考えております。自社商品を持っていますので、これらをブラッシュアップしながら、
新しいものを作っていきたいと思っています。

また、地元の大手企業様ともアクセスしながら、いろいろな交流会が生れてきているのも事実です。
全てがビジネスとして成功するとは思いませんが、お互いの会社に無い技術を補完し合いながら、
一つでも多くのビジネスを成立させたいと考えております。
このような状況も大切なことではないかなと思います。



本日は、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。


真野様、お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
アルターシステム梶@松 永
2003年6月20日掲載