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〜Part1〜 |
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富士通株式会社
CAD本部 CAD開発統括部 第三CAD開発部長 安田 満 様 |
はじめに・・・・・・ お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。 この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。 |
アルターシステム梶@松 永 |
文中敬称略 |
Q 現在のCAD本部の主な業務内容と全社的な位置づけも含めてお聞かせください。 |
安田) CAD本部は、LSI・プリント板・システム設計など社内向けCADツールの提供やサポート等を主に担当しています。 |
Q 第3CAD開発部では? |
安田) プリント板に関するレイアウトの設計CADを担当しています。 |
Q シミュレーションも含めてですか? |
安田) そうですね。 |
Q PDMとか社内のそういうシステムに関してはどちらでサポートされていますか?いわゆるパーツの管理とか? |
安田) 我々の部門は、主にプリント板設計を支援しています。従って、フットプリントなどの部品情報の話になりますが、 おおもとの部品規格情報の管理は、CAD本部ではなく、設計規格を行う部門がありまして、そこで集中管理 しています。そこから我々が扱いやすいCADのデータとして、ライブラリの自動生成などを行っています。 ところでPDMの定義ですが? |
Q 部品在庫ですとか調達関係の管理とか含めて、システム的な領域です。 私達がPDMと呼んでいるのが部品表との連動、仕向け地の管理、代替部品つまり部品のその置き換わりの制御を するシステムのことですが? |
安田) 部品表までは我々の範疇ですが、調達の領域になってくると詳しいことは良く分からないんですけど、 代替部品については先ほど説明した集中管理されている部品規格情報に木目細かく定義されており、 工場拠点からWebで参照できる仕組みがあります。 |
Q その先程お話があったように中心はいわゆるプリント板のレイアウト中心ということで、範囲としてはガーバー・NCなどの CAM出力も入っているわけですか? |
安田) はい、その他として工場で扱う図面関係もサポートしています。 |
Q あぁなるほど、実装図ですとか組図を出力するその辺りまでのシステムの開発サポートを行う訳ですね。 どういった事業部をサポートされるのでしょうか? |
安田) 富士通の全社です、全事業部ですね。 |
Q はい、分かりました。プリント板の設計の評価っていうことで、お聞かせ願えればと思います。 評価要素といったらよいのでしょうか? |
安田) ひと昔は短期間で点と線のパズル問題の配線をするという、単純な問題でしたが、ここ3〜4年前から、 パズル問題を解きながら、いろいろなことを評価して、試作回数を少なくしていかに早く設計を完了させるか というのが重要で、その評価要素がものすごい数あります。 まず今一番問題になっているノイズですね。反射ノイズやクロストークノイズ、電源ノイズなどのノイズ解析。 電子機器から放射される電磁波の強度評価である電磁波解析です。また、高速化になってくるとその タイミング設計をきっちりとしないと誤動作しますからタイミング解析です。さらに、モバイル系の装置では 発熱評価が重要ですし、大型の装置では、水冷にするか空冷にするか冷却用ファンをどれぐらいの大きさ にするとか、構造含めた発熱解析も重要です。 また、一般的な配線性の問題。それと携帯電話やノートPCのような超高密度実装機器で必須な、 高さ方向(Z軸方向)を考慮した構造解析(3D解析)。そして、コスト評価も必要です。 |
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Q これは、部品も含めてということなのでしょうか? |
安田) プリント板に搭載される部品・ネジとか、全てですね。コストというのは株価と同じように変動しますから、 半年後に量産する時のコストが高騰する可能性があるかもしれません。ここでも高精度な価格見積もり が要求されます。それと携帯電話では顕著な正確な重量評価。個々の部品の信頼性を積み上げて 全体の装置で動いた時の信頼性の評価。 製造性のシミュレーションということで、量産し易く、工場の回転率を飛躍的に向上させますから、これも 重要なファクターです。それと、ノイズ・配線性など、いろいろなところに絡みますが、基板の仕様。 すなわちプリント板の外形や配線パターンの幅、ビアの形状、インピーダンスとか、こういったものを決めなく ては全ての評価が始まりません。携帯機器で必須な落下衝撃の評価。 最近話題の環境問題である製品廃棄時の環境規制をクリアする製品設計が配慮されているか、 選定した部品・ネジなどが適合しているか、これも非常に重要な評価項目です。 最後に一番大事なのがスケジュールです。 |
Q スケジュールですか? |
安田) これが一番重要で、決められた期間にすべての項目にわたり評価すべきですが、設計者がこれだけのことを すべて最適に考えるのは難しいです。 |
Q そうですね。人的評価では、限界がありますよね。 |
安田) はい。特に、相当経験があってもクロストークノイズや反射ノイズ、タイミング設計は人間の英知を超えるもの ですから、シミュレーションという便利なツールを提供して、1つのインテグレーションされた設計の環境下で これらをトレードオフ設計していくのが現実的でしょう。先ほど述べた評価要素を考慮して、設計者が最適化 設計を進めていきますが、すべての要素が同じ方向に向かうのであれば難しくありません。実装密度を高く して配線が可能であれば、どんどん詰めていくでしょうし、発熱問題も解消できれば、さらに詰めていくでしょう けど、それぞれの要素が相反関係にあり、簡単に解けません。 |
Q みんな同じ方向にいくことはないわけですね。 |
安田) そうですね。つまり、開発する製品の特性により、評価要素に重み付け、つまり、選択と集中ですが、優先 される要素に限定し部分的に最適化設計し、大局的に設計者が判断して決めていくとか、現実的な アプローチが取られています。 |
Q 実際にこの評価の内容というのは、とても多いですけれど、こういったものを評価する時には、やはりその開発ツール、 評価ツールの開発なども当然同時にサポートされているのでしょうか? |
安田) そうです。特にここ2〜3年ですが、プリント板上の伝送スピードが急激に高速化し、ノイズ解析ツールを強化し、 設計部門から好評を得ています。 |
Q 販売はされているのでしょうか? |
安田) 従来外販していましたプリント板CADツール"ICAD/PCB"に今回のノイズ解析ツールをインテグレーションし、 デザインシンセシス(DesignSysthesis *1)という商品名で販売しています。 *1DesignSysthesis紹介 http://www.fujitsu.co.jp/hypertext/Products/ccce/pcb/index.html |
・次の独占インタビューは富士通株式会社 様(Part2)を8月3日に予定しております。ご期待ください |