インタビュー実施日 2003年6月19日

はじめに・・・・・・
本日は、富士通テン株式会社 開発本部技術情報システム部 ECADチーム 大畑チームリーダー様、川西様、
今後の技術動向、業務改革などをインタビューさせていただきます。

本日はよろしくお願いいたします。
御社の事業内容を教えていただけますか?

 

大畑様:
事業内容は、大きく分けるとオーディオ・ナビゲーション機器とカーエレクトロニクス機器の2本の柱になります。




技術情報システム部の業務内容を教えていただけますか。

 

大畑様:
私共、技術情報システム部の役割は、コンピュータによる設計支援であり、4つのチームに分かれています。
1つ目は、電気系CAD/CAEシステムの導入・運用支援。
2つ目は、機構系CAD/CAEシステムの導入・運用支援。
3つ目は、PDMに代表される技術情報管理システムの開発・運用展開。
4つ目は、全社ネットワークの企画・構築です。
ECADチームは、電気系の設計支援の他に、解析関連のサポートも行なっています。




各工場も、技術情報システム部様のような部署があるのですか? 

大畑様:
いえ、神戸本社で設計を行っているので、拠点を本社に置き、必要に応じ支援しています。



たとえば、システムを導入する時は基本的には、神戸本社で一括で取り仕切っているのでしょうか?

 

川西様:
そうです。
本社のシステム連携を図るためには、運用の環境設定が必要にため、海外拠点だけでは
システム構築できません。そこで、電気系、機械系CADは、本社から担当者が出張して
システム構築と運用教育等を実施しています。




海外拠点はどちらになりますか?

 

大畑様:
工場は、中国(天津)、タイ、フィリピン、米国、メキシコ、スペインになります。
ECADでは、フィリピンと中国のサポートを行っています。




電気系CADシステムの特徴 及び システム構築の特徴を教えてください?

 

川西様:
当社では、富士通製CADシステム「Designsynthesis」(以下DSと略します。)を核として、
社内の各システムとのデータ連携に力を注いできました。例えば、設計データの各種実装機
プログラムへの活用をはじめとして、製造関連指示書などです。
また、設計データの管理面からは、PDMシステムとのリンクに取り組み、図面発行やCADデータ
修正等はPDMシステムを介さないと行えないような仕組みにしています。




機能的に不備な部分があった場合、どのようにされているのですか?

  大畑様:
DS開発元である富士通様のご協力を得て、当社の仕様に合致するように周辺の機能を
カスタマイズしています。また社内で新規機能を開発して対処していますね。

川西様:
解析関連のツールは、やはりDSとデータ連携が容易な富士通様のツールを中心に利用しています。



オーディオ関連の開発で、EMC関連、低周波ノイズへの取り組みなど教えていただけますか?

  大畑様:
EMC・EMIについては、中津川のオープンサイトで、評価を行っています。
また、設計面ではノウハウをドキュメント化していますが、今後は体系的にまとめ、DSとの連携を
考えています。



低周波ノイズへの対処は、難しいと聞きますが。

  大畑様:
車載オーディオ機器開発で、ノウハウが蓄積され、継承されている方だと思います。
しかし、EMI,EMC同様、シミュレーションでの対応は、まだ完全にできているとは言えませんね。



サイトでの評価では、担当技術者が実際に行うのですか?

  大畑様:
サイトは独立機関ですので測定は行えませんが、評価、対策を現場で行なっています。
半月、1ヶ月とかかるものもありますが、その結果がノウハウとなり、サイトの専門家のアドバイスもあり、
対策も取れるケースが多いです。



実際に車関係とか、カーナビもそうですけれど、EFIやエアーバッグ制御装置等の自動車用電子機器として作っている
ものは、非常に品質、耐久性などシビアだと思うんですが、そういう意味で、設計品質の向上の取り組み、昨年までの
改善で、他社と違うという「品質」に対する対処方法はありますでしょうか?

  川西様:
ご指摘のとおり、弊社はOEM製品中心で、特に自動車用電子機器に要求される品質基準が
非常に厳しいです。そこで、メカ設計の3次元化やIP設計等にも積極的に取り組んでいます。


今後のEDAメーカ様へのご要求はありますか?このような支援ツールがほしいとか?
保守の内容を、もう少し明確にお願いいたします。

  川西様:
我々ユーザからも、これからもこんな機能が欲しいといった要望を積極的に出していきますが、
EDAメーカ様からも、設計手法の技術潮流にのった新機能や新システムをどしどし提案して
欲しいですね。保守の内容については、世間一般で言われるバージョンアップや障害対応が
中心です。あと、当社の要望のうち、汎用性がある内容についての機能アップもあげられますね。


現在、半導体設計といわゆるボード設計(プリント板)との関連は、御社では、ありますか?
また、今後は、どのような連携が必要だと思われますか?

  川西様:
今のところ、直接の連携はありませんが、今後も、回路のデジタル化が進みLSI化が進むと
予想されますので、社内の半導体設計部門や製品設計部門との連携が必要になってくると
考えています。その時は、シミュレーションソフトを含めたトータル設計での連携が必要だと思います。


御社のPDMシステムに関して、お聞きしたいのですが、オリジナルで開発されていると聞いておりますが、
システム概要、サポート内容を教えていただけますか?
また、今後の改善テーマもお願いします。

  川西様:
全社で発行される部品表や図面類を一括管理しています。サポートとしては社内ユーザを対象にして、
ヘルプデスクや操作教育、改善要望への対応などに力を入れていますね。
今後の改善テーマとしては、単にデータ管理のみではなく、例えば設計業務の進捗度を目に見える形で
誰でも把握でき、問題があれば柔軟に対応できるようなシステムづくりを目指しています。


今期の改善テーマ、推進テーマを教えてください。

  大畑様:
中国、フィリピンを中心に、海外サポートに力を入れようと思っています。
今までは、日本と環境が異なっていましたので、同一の設計環境を提供することがポイントです。


川西様:

特にPDM関連では、図面管理関連ですね。

大畑様:
2002年度には全クライアント端末の更新を行いましたので、2003年度には電気系CADシステムの
サーバー設備の更新を行ない、さらに、パフォーマンスを向上させます。高密度設計も増えてきています
が、これで、バッチ処理などのレスポンスもかなり向上すると考えており、一種のDSの機能アップと、
とらえています。今後は設計全体のプロセス改革を行なっていき、設計の効率化を図っていきたいですね。
具体的には、商談管理、商品企画支援、プロセス管理、などの面を改善していきます。


最後に中期計画をお聞かせください。

  大畑様:
今後は特に、世の中の動向を調査に力をいれています。私たちの今までの取り組みをベースに、
どう商品化プロセスを改善していくか?アンテナをより高くして、情報収集しています。
他のセットメーカ様ともヒアリングを繰り返していきたいですね。
特に、自動化、データ共有をキーワードに模索中というのが正直なところです。

本日は、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。


大畑チームリーダー様、川西様、お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
アルターシステム梶@松 永
2003年7月4日掲載