〜Part2〜
オムロン株式会社 
IT推進総括本部担当係長
主事 泉 馨様

オムロン岡山株式会社
開発エンジセンタ
技術情報システムチーム長
主事 杉岡 弘朗様

はじめに・・・・・・
お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。
アルターシステム梶@松 永

文中敬称略

Q. PART1より・・では次に上流の方についてお伺いします。
  設計環境をSD、BDの方で取り組まれている中で、シミュレーションへの展開は、いかがですか?

A.シミュレーションはですね、私共の方は、商品群があまり高周波ではなく、20MHz辺りをやっと手が付いてきたところ
  なので、あまり伝送路などのシミュレーションの必要性を  感じていないのが現状ですね。
  SPICEや熱解析ぐらいがほしいなというところでトライしていますが、うまく根付かないということで、今年度もう1度
  仕切り直しをいたしまして、CAEのグランドデザインを作成してこれから取り組もうとしています。



Q. その辺りで泉さんの本社の推進は、いかがですか?

A1.2点ありまして、1点目は弊社では幅広い商品を扱っていますが岡山で担当しているのは、比較的小型の
   電子機器です。以外に高速CPUを採用しているような製品、高密度化が求められている製品などもあります
   ので、各事業部から上がってきたニーズでかつ全社的で取り組めるところを狙いながら、徐々に動き出した
   ところです。例えば放熱解析や伝送線路の解析などからです。しかし他社から比べるとまだまだこれからだなと
   思っています。

   2点目は開発のプロセスを変えていく中で本当にシミュレーションが必要なのかどうか。
   本当に投資に対する効果というのが成り立っているのという観点で、各事業部に対してシミュレーションの
   正しい認識を持ってくださいとの働きかけをしています。この1つが岡山でおこなっているCAEのグランドデザイン
   ですが、これは私どもでプロモートしているプロセス革新活動の1つに位置付けられると考えています。



Q. それではもう少し上の方といいますか、PDMのお話をお伺いいたします。
  先ほどお話がありましたPIMとは部品の管理システムのことでしょうか?
A.  PIMというのはですね プロダクト・インフォメーション・マネージメント・システムの略ですので「製品」と
   「部品情報」を全て集中管理しているシステムです。 ですから部品もありますし、製品構成もあります。
   あと、部品表などの情報も持っています。
   それが約18年前から始まっていまして15年前にはもう根付いているというか、オムロンの中でいろいろな
   拠点で使われているようなシステムなんです。 ただ、逆に現時点では少し足を引っ張ってしまうかもしれ
   ないというような位置付けになるようなシステムです。 18年前から部品構成などの情報も全設計部門
   から製造部門まで共有化できていますしこの当時からオムロングループ全社で品番統一もしています。


Q. すごいですね。他社の皆さんもその辺のところで結構困られているようですけど。
A そうですね私も品番統一で結構苦しんでいると聞きますよ。
   私共、ずいぶん昔からやってきたことなので、なぜできていないのかという感じですね。


Q. そうしますと、当分はPIMをご利用されていかれるということですか?

A1.考え方としてはMRPのフロントエンドプロッセッサのような位置付けでPIMがあります。
   よって、PIMを入口にしMRPを通した、生産や受発注などの仕事の流れが確立しているのです。
   したがって、形は変わってもこれらの仕組みはものづくりのプロセスに必要不可欠なものとして使い続けると
   思っています。

A2.今、PDMと言っているのは、設計のための情報管理ツールで、97年ぐらいから取り組んでいるんです。
   今のPIMは、生産のための情報管理によく使われている位置付けなので、設計が使いやすいというPDMが
   欲しかったんです。CADをコアにしてその情報を使い回していき、製造からの情報も付加していきましょうという
   感じのPDMです。 それを今年の1月ぐらいから三次リリースとして本格利用しています。
   最初は、オムロンのPIMに対して最初はビューインするだけのリードオンリーで始めたんです。
   今は、アップロードすることもやっているところで完全に使い始めたのは今年の1月からですね。



Q. それはどのぐらいかかったのですか?
A. 97年の11月から検討開始していますから、やはり2年から3年ぐらいかかりました。


Q. 話がそれるかもしれませんが部品関係、PDMもそうかと思いますが、部品を新しく採用する時に部品審査という
  言葉をよく聞くのですが、無作為に部品を使っていくと増える一方だと思いますが、そのような時のフィルタは、
  どう取り組みをされているんですか?

A. それはですね。設計のデザインレビューというものがありまして、その中に部材レビューが存在しています。
   ライフサイクルの短い部品を選んだりですとか、大量に購入している部品など購買関係のメンバーが中心に
   レビューをかける仕組みがありますので、設計レビューの中でやっています。 デザインレビューだけではなくて、
   設計メンバーに対して部品という切り口からコンサルティングするようなイメージで、社内にはコンサルティング
   メンバーのようなものが設計の近くにいるというのが今の現状です。そこには購買担当もいます。そしてそこが
   設計のためのコンサルティング業務を行うという位置付けで、機能配分されて今年度からやっています。

A1.補足なのですが今年の4月から岡山の方の組織を変えています。
   大きく変えているところがあるのですが、設計の方は設計に集中してもらい、設計を取り巻く仕事をサポート
   する部隊を作りましょうということになりました。これは開発のプロセス革新の中の打ち手の1つだと思います。
   そしてエンジニアリング機能というのを作りましてその中に技術情報のプロ・生産技術のプロ・技術購買の
   プロ・コストのプロを置いて設計者の知恵袋になるという組織体制にしています。 そして今後、更に加速
   して行こうということです。

A. 設計がもっと創造的な分野に注力できる組織体制にしようということで、設計者にかかる雑務をとって
   しまおうということです。実際にはコンサルティングというイメージで、設計者をサポートする感じです。
   開発期間に繁栄させたり、コスト・品質の管理ができる部隊を形成しています。



Q. 大きな取り組みですね。
A1.そうです。開発エンジセンターというのは、設計部門と工場の接着剤の役目をするような機能になって
   います。従来ですと産機コンポ統括事業部という中の生産拠点の1つでしかなかったものが、今年度
   からは開発と生産を繋ぐ役割としての、産機コンポ統括事業部のエンジニアリング機能のような位置
   付けにもなりました。 ですから開発エンジセンターというのが、サポートする部隊ということで上流の方の
   開発性質もありますし、各地に工場がありますので、そちらとの接着剤役のような機能も持とうとして
   います。その中に開発と生産を繋ぐプロフェッショナルな機能を置いてサポートして行くということです。

A. これが昨年度までの電気設計データの流れをまとめるとこのような感じです。設計A、B・・というところ
   から、工場A、B・・に向かっていろいろデータを流します。 協力会社さんもお互いに協力し合って依頼
   をしてやっているので、結構入込んだ形でデータが流れています。 そこで「開発・工場リンク機能」を
   入れて、このように流そうと考えています。      



 
Q. すっきりしますね。
A. そうですね。こういう絵だけでも結構すっきりしますね。中身を標準化したり使い回しをできる形でやっていくと
   二重登録がないですし、上流登録できる情報を使い回していくことができるので、開発期間が短縮できると
   思っています。


Q. 最後になりますが、今期のテーマと来期以降の取り組みを泉さんの方からお聞かせ願えますか。

A1.岡山を中心とする産機コンポ統轄事業部のプロセス革新活動では、これを実行していく組織づくりと連動
   しながら すすめられており、PCB設計は開発エンジニアリング部門を中核にして、PCB設計データの流れの
   整流化・標準化などルールづくりを他の事業部に先駆けて整備されつつあります。

   たとえばこの1つに、PCB設計データを作成するPCBレイアウトCAD、回路設計CAD稼動に必要な
   ライブラリを開発エンジニアリング部門に集中的に登録する仕組みを作られようとされています。
   ライブラリには、コスト情報・標準部品情報・実装情報・シミュレーション情報など部品にまつわるさまざまな
   情報が登録できますから、PCB設計 データの流れの整流化・標準化にとって大きなウエイトを占めるもの
   であるとの認識によるものです。

  
更に、海外を含め開発部門や生産部門の各拠点のロケーションが離れているのが弊社の特徴でもあります。
   これらを踏まえて現在、離れたロケーションであっても同じライブラリを利用できる仕組み、即ち集中登録した
   ライブラリの差分情報を定期的に各拠点に送信していく仕組みを作っていこうと挑戦しているところです。

   来期以降は、海外の生産拠点や協力会社にもライブラリを提供したり産機コンポ統轄事業部以外にも
   この仕組みを利用いただくことを考えています。更には全社の部品標準化の施策との連携した仕組みへの
   発展も予定しています。



Q. そうですか解りました。杉岡さんの方はどうでしょうか?
A. 今、開発プロセス革新の目標はリードタイム半減やコスト品質の上流形成なのですが、「開発プロセスの見直し」、
   「技術の資産化」、「開発の情報化」という三つの柱で取り組みを構成しています。この取り組みの中でITツール
   などを積極的に活用して行こうとしています。 この三本柱のうちのどれが欠けても上手く回らないだろうなと
   思います。ITツールの方が少し先行して使えるようになりましたので、「開発プロセスの見直し」、「技術の資産化」
   に注力していこうとしているところです。


本日は、お忙しいところどうもありがとうございました。
貴重な今後の取り組みをお話いただき、大変勉強になりました。 今後のご活躍を心より、お祈り申し上げます

お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。