〜Part1〜

パッズジャパン株式会社

CAD営業部

取締役営業部長 斉藤様


パッズ・ジャパン株式会社 様

はじめに・・・・・・
今回は、パッズ・ジャパン株式会社 CAD営業部 取締役営業部長の斉藤様に、会社沿革、今後の技術動向、
業務改革などをインタビューさせていただきました。お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。
アルターシステム梶@松 永

文中敬称略


Q 現在のパッズ・ジャパンさんの業務内容と、キョーデンさんのご関係についてお話しいただけますか。
斉藤) まず、当社のことをよくお知りにならない皆さんに、会社のバックグランドから説明させていただきたいと思います。
     正式名称は、PADS Software Inc.といいます。これはアメリカのマサチューセッツ州のマルボロというところに
     あります。マサチューセッツというと東海岸のハイテク産業の集約地帯でコンピュータ関連のヘッドオフィスの多い
     地域です。世界46ヶ国で販売及びサポートを行っており、我々パッズ・ジャパンは日本国内を担当しています。
     1986年にこのマルボロでパッズソフトウェアインコーポレート、我々「PSI」と呼んでいますが、これが設立され、
     14年ほど経ちます。その後1991年に、我々のグループ会社であるキョーデンが、完全に株式を取得しています。
     今でいうとM&Aを行ったということです。PCBの試作基板のメーカーということで知ってらっしゃる方も多いと思い
     ます。今、PADSがワールドワイドでどの程度のマーケットを持っているかといいますと、正直言って細かい数字と
     して99年はまだ出ていません。ただ基本的に99年末で累積で5万本をオーバーしました。
     PCBのレイアウトシステムの中で5万本というのがどの程度のマーケットを持っているかというと、まあ、ランキング
     的からいうと出荷本数はほぼトップランキングに入ってくるといえます、あくまでもPCBということですが。98年に
     データクエストがまとめたものによると、EDAマーケットの中でのランキングが発表になっているのですが、その中で
     見ると第8位にランキングされています。現在ではLSIの開発ツールを中心としているメンター・ケイデンスが上位
     にランキングされています。PCBのレイアウトシステムだけを抜き出すと、今、PADSは第1位というランキングの
     発表になっています。また、EDA全体のPCベースシステムでは確か第2位か第3位にいるという報告を聞いて
     います。日本国内がどのくらい出ているのかといいますと、ワールドワイドの本数の約10パーセントです。
     あとナンバーワンは北米で、5万本のうちの約40パーセントが出荷されています。


Q 国内の出荷本数というのはいかがですか?
斉藤) 99年末で5000オーバーというところでしょうか。


Q 現在パッズ・ジャパンさんとしてはPCベースを中心にしたプリント板設計のCADツールに力を入れられていると思いますが、
  シミュレーションとしてはどのように考えていらっしゃいますか?
斉藤) 昨今の販売戦略の位置付けの中でシミュレーションというのはきっても切れないといいますか、販売戦略上の大きな
     切り口になっているというのは、絶対に間違いないですね。メーカーでいながら、このようにいうのはおかしいかもしれま
     せんが、我々はPCBのレイアウトツールのメーカーという認識があります。日本国内でいうとパターン設計CADの
     ベンダーという見方できていたと思うんです。ですからユーザーの方もプリント基板の設計CADメーカーだという認識で、
     この20猶予年、きていると思うんです。基本的に私個人的には、もうレイアウトツールというのは、あくまでもポイント
     ツールのone of thenでしかないという認識なんです。ですからどれが中核かということではなくて、いかにして
     ソリューションをトータルに提供できるかということが、これからのCADベンダーに与えられた使命だと思いますし、
     それがユーザーのニーズだと思います。そのニーズの中で今後のキーテクノロジーがFloorPlanでありシミュレーションを
     核とするバーチャルデザインではないかと考えます。
     またプリント基板そのものが高速・高周波・高実装とLSIに近い要求が多くなってきており、その開発行為であるとか
     知識・ニーズの難易度が上がってきています。もちろん、高速のLSIはPCB上で稼動する訳ですから当然の要求
     かとも思います。パターン設計という行為そのものはどちらかというと中流から下流の方にあって、我々が目指さな
     ければいけないところは上流なのかなと、上流を意識しないでプリント基板はもうできないのかなという危機感が
     数年前からありました。この2〜3年の戦略の中で、実際にお客様に売れていく商品であるとか、切り口がどんどん
     変わってきていることも確かで、その辺の中心がやはり伝送線路のシミュレーションということなのかなと、もちろん
     ノイズであるとか、すべて統括した形でのシミュレーションソフトがあるのとないのとではぜんぜん市場の見方が
     変わってきています。もちろんまだまだシミュレーションソフトを充分に運用して開発に生かしているエンドユーザーが
     どの程度いるのかというと、非常にざっくりした言い方をすれば20パーセントくらいではないかと思います。
     ただ、次のことを考えてみた時、このレイアウトツールがシミュレーションというものと、どういう親和性を持っていて、
     どういったビジョンでこのレイアウトツールが作られているのかというのが、とても大きなポイントとして、ユーザーは
     期待をしていて、評価の基準にもなっていると思います。
     ですから基本的にデジタル思考だ、アナログ思考だということではなく、アートワーク思考からの脱却を迫られて
     いますし、アートワークシステムというものが存続するマーケットが、どんどん少なくなってシュリンクされていることも
     間違いないと思います。

     パッズというと、お客様から言われますのは、デジタル思考的なシステムという見方をされるケースも多いんですが、
     日本国内で売ってきた歴史の中では、アナログユーザーも結構多いので、いろいろな日本のユーザーのニーズに
     合わせた機能開発もしてきました。ここにきてもうひとつ飛び出してきたのは、デジタルシミュレーション、もちろん
     アナログシミュレーション、これはSPICEをお利用してこれは不可欠なんですけれども、デジタルシミュレーションの
     マーケットにPCのレイアウトシステムのメーカーとしていち早く飛び込んできているんです。
     そのひとつとしてアメリカのPSIの中でも、研究開発は進めていたんですけれども、98年の7月にアメリカのシアトルに
     ヘッドオフィスがあったHyperLynx社をパッズが完全買収を行いました。それはワールドワイドにPCベース上で動く
     伝装線路では、マーケットを持っているということ、認知度が高かったということで買収しました。それと今、パッズの
     販売の主体となっているPOWER PCBとの親和性が非常に図りやすかったこととリンクして、99年からハイパーリン
     クス・POWER PCBというセットでの販売が非常に大きくなってきているというのが最近の傾向です。


Q 今お話がありましたように、シミュレーションが強いメーカーさんとの合併を行うことにより対象ユーザーも
  広がってくると思われますが、昨今、試作レス、部品の品種削減など生産管理系のシステムをどのように
  構築するのかが、セットメーカ様の課題だと思います。このあたりの取り組みは、いかがですか。

 
斉藤) これにつきましては、大きなテーマではありますが、なかなかまだ手が出せない状態です。
     ただ、それを行うためのいろいろなデータベース・ツールの開発を順次行っています。基本的にPDMというと、
     松永さんもご存知の通り、意外と範囲が広く難しいのではないですか? それと個別のユーザーさんによって
     特化したものを作っていかないといけないんですね。これがPDMそのものをCADベンダーがやるビジネスかというと、
     正直言って私にはわかりません。ただ、PDMにつながっていくような、いわゆるCADサイドから、そのデータをいかに
     して間接部門、または直接の部門にデータをどう出していくのかというテーマはありますよね。
     そのために2000年の大きなテーマとして基本的にLatiumというデータベースを構築しています。
     これは開発のコードネームなんですが、先日のJPCAショーでも発表しています。今、パッズはパワーPCBという
     レイアウトシステムを中心にして、パワーロジックという回路図の設計ツール、それと先ほどのハイパーリンクス、
     このハイパーリンクスという商品はふたつのシミュレーションを持っていまして、プリレイアウトのシミュレーション・ポスト
     レイアウトのシミュレーションの両方を持っています。
     それと昨年8月に完全買収を行ったんですけれど、CAMの編集ツール「アドバンスド・CAM・テクノロジー」、ACT
     と呼んでいますが、これの買収を行いました。また、POWER BGAという商品、このパッケージデザインのツールも
     我々の守備範囲に入っています。ある程度上流から下流までの製品ラインナップが揃っているといえますが、反面、
     会社を買って、商品を集めただけの今のところはコレクターでしかないということです。
     もちろんいろいろなインターフェイスを持っていて、ちゃんとリンクをしてデータが交換されるという仕組みを持っているん
     ですが、本当の意味でのタイトな親和性があるかどうかは別の次元なんです。   
     それを同一化しようということでラティウムという新しいデータベース、新しいアーキテクチャーの中でパッズ全体を取り
     込んでいこうと、一昨年から社内的にスタートしています。その集大成として今回JPCAショーで発表したのが
     「Latium」いうデータベースなんです。国内では6月のバージョンアップから一部に採用し、今後順次拡大する
     予定です。これは回路設計・CAM・シミュレーション・レイアウト、これが同一のデータベースの中で動いていくと
     いうことです。今までですと個々のツールがポイントツールみたいな形で、インターフェイスをかましながら動いていた
     ものがダイレクトなデータベースを持ってくることになります。
     ですからフォワードアノテーション・バックフォワードアノテーションがすべての工程の中でできていくという形のものを
     構築していきたい、それも同じプラットフォームの中で動いていく、同じジョブの中でできてくる、それとリアルタイムで
     画面の表示も高速に表示されていくということです。そして、インターネットがLatiumのサブセットとなっており、
     WEBサイトを利用した、データのダウンロード、データ交換が同一の作業環境のなかで行われます。


次回PART2(7月17日)へ続く・・・

次回は、アメリカでの開発・自動配線ツールの開発・イノベーターさんとの件・・・・について掲載いたします。
ご期待ください。