インタビュー実施日 2003年9月16日
 
はじめに・・・・・・・
それでは、よろしくお願いいたします。
本日は、株式会社プラックス 代表取締役 松村 信幸様にインタビューをさせていただきます。


早速ですが、御社の社歴を教えてください。

 
1964年に有限会社松村工業を設立、1990年には有限会社プラックスに社名変更をしました。
2001年には資本金を増資して株式会社プラックスとして現在に至っております。



御社の業務内容を教えてください。

  当社は、プリント基板の試作実装をメインとしております。
従来は、試作実装のみの業務形態をとっておりましたが、今年の8月より、パターン設計から
試作実装まで業務を拡大しました。基板は外注さんに依頼し、当社で設計と実装を行ない、
お客様に出荷しています。



基板は外注さんに依頼されているということですが、現在、御社の中で基板を作成することは
お考えでしょうか?

そうですね。
基板自体を作成するには、かなりの設備も必要ですので、今の段階では考えておりません。



実装についてお伺いいたします。
実装は試作中心に展開されていますが、どのくらいのロットから受注されていますか?

 
最近は、5枚から10枚のロットが多いですね。
中には1枚の場合もあります。



品種が多いということですね?

 

はい、そうです。
試作実装でなるべく高密度なものを目指しております。
DIP品が多い基板は設備の関係上苦手です。弊社の得意とするところは面実装で高密度品です。
これからは、データ・総合通信といったものが最近増えておりますので、他社には真似できないような
短納期対応や0603チップなど最新のデバイスを実装できるようにBGAなどをメインとしています。




実装機も導入されているのですか?

  はい。実装機は4台あります。それぞれがバッチ処理です。
通常、面実装といいますとラインで組み、自動化で流します。
スピードは落ちますが、どの部品でも対応できるように汎用機4台を設置しました。
様々な品種の部品を、1日2〜3回段取り換えを行ない作業しております。



部品自体は、調達されるケースと、お客様からの支給とでは、どちらが多いのでしょうか? 

 

ほとんどが支給ですが、設計から実装までという形になりますと、お客様からどうしても「部品も
調達して欲しい」とのご要望があります。特に、
開発部門の設計者が、試作に関して自分で
責任を持ち、評価まで行ないますので、部品商社さんと共同し、部品は商社さんに集めて
もらっています。パターン設計から基板作成まで部品調達〜実装という一連の流れで試作開発
のサポートをしようと思っております。




現在、試作をされている企業様が多いと思いますが、御社のお客様は、セットメーカー様主体でしょうか?

  そうですね。
エンドユーザーは、大手メーカーの開発ですね。



今後は、例えばどこかの設計メーカーさんが設計〜試作まで受注した場合、試作だけお手伝いする
ケースはありますか?

  今まではだいたい設計事務所さんからの注文が多かったです。
また、基板製造メーカー様からの仕事も増えてきていますね。



最近は「環境問題」が重要視されていますが、鉛フリー対応はいかかですか?

  鉛フリーは3年ほど前から対応しております。



なかなか対応されているところは少ないですから、強みになりますね。

  そうですね。
比較的対応されているところが少なく、一割いかない状況だと思います。


設計についてお伺いいたします。
CADのシステムはどちらの機種をお使いになられていますか?

 

CADは、図研さんの「CR5000 BD」を3台使用しています。
立ち上がったばかりですが、台数が少ないため一部外注さんにも依頼しております。
「CR5000 BD」指定のお客様を中心に受注させていただいておりますが、エンドユーザーとの
データ交換が行なえなければ業務の幅を広げることができませんので、今後は「CADVANCE」など
CADの種類も徐々に増やしていくことを考えております。



お客様に合わせた形をとられるということでしょうか。
設計のインフラなどを、今後強化していく方向ですね。

  はい、そうです。


今年の上期の状況はいかかですか?

  上期の状態は、去年の2割増しぐらいの売上げですね。


やはり試作実装が多いということですか? 

  はい、試作実装のニーズが多くなってきたということですね。
特に当社の場合ですと、お客様の開発担当者から金曜日に依頼を受けて、月曜日から評価したい
という要望に応えるため、土・日で作業を行ないます。ですから週末がかなり忙しくなるわけです。
しかし交代制を組み、基板実装の"コンビニ"ということでアピールしたいと思っております。



24時間体制ということですか?

  24時間とまではいきませんが、お客様からのご要望があれば夜勤と昼勤、交代制で行なっています。
土日の場合には少し割増料金をいただいていますが、試作開発ですと品質はもちろんのこと納期
最優先ですからね。


特急料金ということですね?

  はい。
それでも依頼されるお客様が多いですね。


部品の値段が高いという問題はありますか?

  はい。
値段も高いですし、少しばかりでは売ってくれないということが多いですね。
緊急性を要しますと、すぐにでも集めなくてはならないということになります。
部品調達は商社さんとタイアップしておりますが、なかなか納期の回答が出ないものが多いですね。


現在、電子部品も動き出していますので、なかなか入りにくい部分があると思いますが、いかがでしょうか?

  一般的なCR部品・コンデンサ・抵抗に関しましては、在庫をかなり抱えています。
お客様から支給していただかなくても、無料でサービスしています。
但し、量産になりますと困りますね。試作で使用するとすれば、1000〜2000個の単位ですから、
リールで購入しても1個1円にもなりません。何銭という金額に、請求書を作成したり、計算したり
する手間と時間をかけることはできません。バラでいただいた部品を、手を使ってピンセットで載せる
よりは、リール・マウンターで載せた方が速く正確に行なえますので、品質的にもお客様に満足して
いただけると思います。ホームページにも在庫状況と無料でご提供の旨を掲載しております。


在庫を掲載しているケースは、お聞きしたことがないですね。

  これが量産になった場合、無料でサービスしてしまうと厳しいですね。


量産の依頼を受けられる場合もありますか?

  受けるのは、200枚から上限が300枚ぐらいまでですね。
それ以上になりますと、試作の単価で行なっている以上、単価的に太刀打ちできません。
ラインを組みませんので、全てバッチ処理で行なっております。1日に、4つのマウンターが何種類も
交代して行ないますので、量産を入れることによってラインが全て止まります。そうしますと、試作
開発で頼りにしていただいているお客様にご迷惑をかけてしまいますので、軸足は、試作開発で
開発の技術者のサポートをするということをメインにしています。


実装となりますと、当然「検査」という部分で検査機の状況はいかがですか?

  画像の検査機が2台ありますが、現実的には目視検査で行なっております。
部品の検査・お客様の数量チェック・マウンター・検査など、標準3日で出荷しておりますので、
検査機のデータを入力する時間がないというのが現在の状況です。しかし、量産なら枚数も
少なく、1回作ったデータを使用できます。不良率に関しては、目視で検査を行なっても、
月に何千枚のうち数件ですね。


中国でも、現在は実装ラインの最終チェックを人間が行なっていますが、検査機の導入が
推進されてきていますね。

  量産ですと、目視検査より検査機のほうがいいですね。


最後に今後のテーマをお聞かせください。

 

我々は、実装の最後の砦を守っていくために、「やりやすい実装」「問題のない実装」を設計に
生かし、反映していきたいと思っております。そういう点では、実装を益々強化して、更に付帯
作業として設計を立ち上げましたので、CADと設計者数も揃えていくことで、さらにお客様が
増えていく
と思いますね。部品調達がこれからの課題だとも思っており、短納期・高品質を
モットーに活動していきたいと考えております。



本日は、貴重なお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。
今後ともよろしくお願い申し上げます。


松村様、お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
アルターシステム梶@松 永
2003年10月3日掲載