インタビュー実施日 2002年5月7日

   写真左:岡崎 健二様
            写真右:弊社 松永


はじめに・・・
岡崎様、小谷地様、お忙しい中、ご協力いただきまして、本当にありがとうございました。
この場をおかりしまして、心より御礼申し上げます。
アルターシステム梶@松 永

  まず、今回のインタビューの目的であるJPCAショーの特集に入る前に、
御社は1月スタートの12月期末とお伺いしておりますが、まず、昨年度から今年にかけての
動向をお伺いしたいと思います。

 

弊社はここのところ、とくにシステム分野に非常に力を入れていまして、ご存知のことと思い
ますが、1999年にベリベスト社を、2000年にキャディックス社のE-CAD部門を買収しました。
そのお陰でといってもいいと思いますが、現在のシステム設計に必要とされるワールドクラスの
優れたテクノロジーを手に入れることができました。
昨年は製品戦略といいますか、製品ロードマップを組み上げていた時期、お客様に対する
ソリューションを作り上げていた時期ということになります。
これが1年かけて具体的な形としてでてきましたので、その成果を6月のJPCAショーで示し、
お客様に提案していきたいと考えています。

昨年の成績という意味では大きな伸びはありませんでしたが、やっと3社が持っていたテクノロジー
が融合され新しい製品ができてきましたので、今年から来年にかけては、それをベースに日本の
マーケットを拡販・拡大していきたいと考えています。


  主力製品は何でしょうか?

具体的に製品名は「SFX-RE」です。
これは従来キャディックスが持っていましたSFXというレイアウトシステムに、ルーターテクノロジー
であるオートアクティブをインテグレーションしたものということになります。

今、日本のエレクトロニクスマーケットではコンシューマー、コンピューター、コミュニケーション
技術が融合されたディジタルメディア機器が主要な製品となってきていますが、それらの
製品設計の中ではハイスピードディジタルに対応した優れたルーターテクノロジーや、解析
技術といったものが必要になってきています。そのようなニーズに対して先ほど申し上げました
とおり、これまでの民生機器の設計において数々の実績のあるSFXというレイアウトシステムに、
今回オートアクティブというルーターテクノロジーを統合しました。
また、将来的にはそれに加えて解析関係のツールもSFXの中に統合していこうと考えています。 
そして、従来の設計環境の中では提供できなかったシングルパスデザイン環境といったものを
日本のお客様に提供していきたいと思っています。


 
  そちらの「SFX-RE」が今回のJPCAショーの中心ということですね。

そうですね、これが今回の中心になります。

  SFX本体としてはあまり大きな変化はなく、ルーター機能がバウンドされたということでしょうか?

 

まあ、SFXはコアとしてみれば、そこはあまり変わっていないかもしれません。

  実際には SFXですとか、メンターさんのボードステーション、ベリベストさんのツールがありますよね。
そちらとのインターフェイスは取れるということになるのでしょうか。SFX−REは別製品ということですよね。

 

ボードステーション、エクスペディション、SFX-REはそれぞれがそれ自体で回路図の作成から
製造データの生成まで可能な完結したシステムとなっています。
従って、SFX-REが他の製品を補完するといったものではありません。
ですから、それぞれの製品間でのデータの互換、インターフェースといったものは存在しません。


 
  REというのは、必ずエクスペディションにもREというバージョンが出てくるわけですか?

 

REというのはオートアクティブテクノロジーのことを指しています。 
エクスペディションには標準パッケージとして、そもそもオートアクティブが含まれていますので、
そこにはエクスペディションREという名前は付けていません。

ボードステーション系の製品は、従来優れたルーターテクノロジーを持っていませんでしたので
オートアクティブをインテグレーションしました。そして、その呼び名を「RE」としています。
同じオートアクティブというルーターテクノロジーが、今回それぞれのレイアウト系に
インテグレーションされたということです。


  ワールドワイドではまた違う戦略なわけですか?

 

そういう訳ではありません。
ワールドワイドではエクスペディションですとかボードステーション系が中心のユーザが多いの
ですが、ここでもやはりAutoActiveを中心としたエンハンスをしています。
コアとなるレイアウトシステムは違いますが、戦略的なテクノロジーのロードマップは日本も
海外も同じです。

ただ最近、アジア、とくに中国・台湾のメーカーさんが民生機器に近いシステムの開発を
行うようになってきています。そのようなところに対してはSFXがベストなソリューションになると
考えています。


  実際にコスト的には、いかがですか?
CADツールのコスト面は他のベンダーさんと比べていかがでしょうか?

 

そうですね、今回価格的には大きな変更は加えておりません。
レイアウト系に関する価格はそれぞれ従来の製品価格をベースに提案していくことになります。
それにREというオプションが加わったということです。


  最近、よく中国への展開が話題になりますが、中国での価格と日本の価格は同じなのでしょうか?
最近このような質問がとても多いんですよね、中国で日本の単価だと、人件費などの面から
合わないということからだと思いますが。

 

製品価格とは、提供しているそれぞれの製品がもつ価値に対する対価だと考えています。
そういう意味で、中国に対しても同じ価格体系になっています。
ただ、戦略的に何か特別な価格を中国向けに設定するということもあるかとは思いますが、
基本的には同じです。


  わかりました。
私共も、この業界が長いのですが、CADツールとしてみると、日本もかなり
飽和してきているのではないかと思います。そういった部分でSFX-REというツールを
どのように市場展開していくのか、戦略をお聞かせください。

 

従来でいうPCB CADというカテゴリーで考えると日本のマーケットも飽和状態に近いと
いえると思います。ただ、今、プリント基板上で使用されるテクノロジーも随分変わってきて
いますし、新しいテクノロジーも入ってきています。そういった意味では、当然新しいそれらに
対応可能な優れたルーターソリューションや解析関係のツール、たとえばシグナルインテグリティ、
EMC・EMIなど、そういったものが新たに求められてきています。

また大手のメーカーさんで最近よく見られるのは、プリント基板というものの見方ではなく、
システムというものの見方です。具体的にはシステムの概念設計から製造工程までトータルで
プロセスをとらえ最もオプティマイズされた設計環境を構築していきたいといった考え方です。

この考え方は弊社が目指しているところと全く同じで、プリント基板に対するソリューション
ではなく、システムに対するソリューションを提供していきたいと常々考えています。
システム設計に対するソリューションとは、LSI設計、ソフトウエア設計そしてプリント基板設計
環境がシームレスに融合された環境をいいます。
今回のJPCAショウのなかでも一部LSI-Board Linkといった製品を紹介したいと思っています。
ただ、期待されるトータルソリューションが提供できるようになるまでにはまだまだ時間が必要
ですし、直ぐに実現が可能なチャレンジではありませんが、我々メンター・グラフィックスに日本
のお客様が期待していただいている部分はそこだと考えていますし、それに対応できるような
製品、環境、サービスといったものを今後も引き続き開発していきたいと思っています。 
その意味で日本のマーケットもまだまだ延びてくると考えています。

市場戦略という面での他社との差別化については、このあたりが他社との違いだとも考えています。


  上流からボード設計まで、その下流の製造系はいかがでしょうか?

 

そこのところは、弊社も当然製品を持っていますが、今のところそこに対して新たに何か注力
しているということはありません。また、この分野ではバロールさんのODBGやODB++といった
優れたツールが既にマーケットに紹介されていて、我々としてはそのような優れたテクノロジーと
補完し合える関係でありたいと考えています。ただ、今後は、熱・電気・物理・製造側からくる
制約条件を考慮しながらの設計というものが、今後、設計分野におけるひとつのキーになって
くると考えています。そういった面では当然製造分野において注力はしていかなければならない
と考えています。


  わかりました。本日は、お忙しいところありがとうございました。

 

こちらこそ、ありがとうございました。



・・・メンターグラフィックス・ジャパン株式会社様からのお知らせ・・・

6月のJPCAショーに出展するプリント基板設計ツール「SFX RE」のご案内です。
是非、ご覧ください。
詳しくは、こちら