記者:アルターネット事務局  
 
 
   
 
【 中国近況 】
  2008年オリンピックイアーを迎え、活気づいている経済状況と裏腹に、2月大雪での交通機関のトラブルで、石炭の輸送が大幅に停滞し、上海、蘇州などの工場は、電力不足で工場生産に影響が発生しました。
2012年福健省で原子力発電の1号ユニットの稼動が計画されていますが、年々増加する電力不足は、深刻な問題となっています。

また、経済指標でもある物価上昇係数も、地方でも6%を超える省も増えてきています。
その為、沿岸部の経済発展地域では、野菜、日常製品、飲食など各方面での価格上昇となっているのが現状です。
2008年より労働法の改正となり、中国人の雇用をかなり慎重に考える日系企業も増えてきています。
   
 
【 大連開発区、世界TOPレベルの半導体基地を設立予定 】
 

大連市は、近年、ソフトウェアビジネスの発展を積極的に展開してきました。豊富な人材育成に力を注ぎ、日本語・英語の堪能なエンジニアを育て、オフショアビジネスを行っています。2008年、世界最大の半導体設備・材料協会SEMIの代表と大連開発区管理委員会の代表が合同で‘大連半導体産業パーク協力備忘録‘に署名しました。

双方は、インテルマイクロプロセッサーPJに利便性の高いサービスを提供するとともに、同時に大連の半導体産業・賃金・人材などを連携し、大連を世界でもTOPレベルの半導体産業基地に発展させる計画を立案しました。これは、インテル社が大連開発区に拠点を設立したのがきっかけとなっており、インテル大連の西側、15万平方メートルの敷地面積に設立を予定しています。

SEMIは、世界2510社から構成されおり、各種サービスを提供しています。
数多くの日系半導体メーカが加盟しており、大連開発区参入企業への支援を積極的に展開していくことになります。
この大連半導体パークの第一期工程は、2009年初旬より稼動を予定しています。

   
 
【 広州・シンセン 】
 
1月に広州へ初めて訪問しましたが、広州空港から国道をTAXIで移動している間も、車メーカが非常に多く、車産業の発展基地の印象を受けました。立地的にも香港への移動も便利で、港も近く、物流の利便性の高さを感じました。
しかし、上海エリアなどの商業都市独特の雰囲気ではなく、工業都市として目に映りました。

また、日系企業からの現地赴任者もご家族は、香港で生活を行い赴任者が週末香港へ帰るといった形態が多く、 学校、病院などの生活インフラの問題も数多くあるのが現状のようです。
   
 
 
 
【 アジア・中国 Q&A 】
   最近、良く質問される内容を整理しましたので、ご参考ください。
 

Q1

中国での雇用に関して、定着率が悪いと聞きますが、状況は?

A1

大学卒業者の初任給も2、3年前に比べて、上昇率は安定傾向にあります。
しかし、雇用契約が3年、2年と区切られているため、契約更新での離職が一番ケースとしては多いようです。企業としては、3年育ててきた経費、今後の貢献度などを勘案して、ベースアップに応じる企業もありますが、会社規定内で収まることができない為引き止めることができないのです。

また、北京、上海での就職を希望している人が多いのも現状です。
これは、上海在住期間が長ければ長いほど、将来的な福利厚生など優遇されると聞いております。
   
 

Q2

日系企業も中国から他のアジアへの進出も積極的に展開されていると聞きますが、状況は?

A2

そうですね。
労働コストが大幅に上昇した事と、労働法の規制の改善が大きな要因だと思います。
特に沿岸部での労働コストの上昇でコストメリットが見出せない状況もあり、また生産設備の充実で多くの労働力が必要でないものづくりでは、深刻な問題となっています。

沿岸部から労働力の安い内陸部へ工場を移転させるにもかなりの労力・費用がかかるため、一部の工場では、設備をそのまま残し、移転する企業もあります。(省が異なる設備移転は、非常に難しい。)
現在では、インド、ベトナム、タイへの進出企業が増加傾向にあるようです。
   
 

Q3

北京・上海では、住宅関連も上昇していると聞きますが、状況は?

A3

マンション建設は、今でもどんどん建設されています。
2002年ぐらいからかなり上昇しており、価格的には、2倍、3倍のマンションも数多くあります。
昨年もゆるやかですが、上昇しているようです。
ちなみに、マンション100平米メートルの価格は、場所にもよりますが、300万元〜400万元 (日本円 4,500万円〜6,000万円)になり、 日本の主要都市のマンション価格とほぼ同様な価格体系となります。

私の所感ですが、大学卒業の初任給が、4,000元ほど(6万円〜7万円)だとしますと、少々、マンション価格は高過ぎるのは・・・と感じています。
   
  次回の中国紀行をお楽しみに・・・
   
  過去の中国紀行は下記より御覧下さい。
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2008年03月07日掲載